スイスチャードのベタレイン色素含有量の具体的な数値、そして他の抗酸化食品との比較データを、現時点で得られる科学的情報に基づき、詳しくまとめます。
🌈 スイスチャードのベタレイン色素含有量
スイスチャード(Beta vulgaris subsp. cicla)の茎や葉に含まれるベタレイン色素の含有量は、品種や栽培条件、収穫時期によってばらつきがあります。学術報告および食品成分研究からの推定値は以下の通りです。
部位 | ベタレイン色素含有量(mg / 100 g 新鮮重) | 主な色素 |
---|---|---|
茎(赤・紫色) | 約 20~50 mg | 主にベタシアニン(赤紫系) |
茎(黄・橙色) | 約 10~30 mg | 主にベタキサンチン(黄橙系) |
葉 | 約 5~15 mg | 微量のベタシアニンとベタキサンチン |
👉 参考値:
ビーツの根部(一般的なベタレイン供給源)では、ベタレイン色素は 110〜200 mg / 100 g とスイスチャードよりかなり高濃度です。スイスチャードは色素の分布が主に茎や葉脈に限られるため、全体の含有量はビーツほど高くはありませんが、日常的な摂取量としては十分な抗酸化成分を供給できます。
⚡ 他の抗酸化食品との比較データ(抗酸化能とベタレイン含有量の視点)
抗酸化食品の抗酸化活性を比較する際、よく使われる指標に ORAC値(酸素ラジカル吸収能値)があります。また、ここでは色素含有量もあわせて示します。
食品 | 主な抗酸化成分 | ORAC値(μmol TE / 100 g) | ベタレイン含有量(mg / 100 g) |
---|---|---|---|
スイスチャード(赤茎) | ベタシアニン、ベタキサンチン | 推定 900〜1500 | 20~50 |
ビーツ(根) | ベタシアニン | 1700〜2000 | 110〜200 |
ブルーベリー | アントシアニン、ポリフェノール | 約 4600 | 含まれない |
ほうれん草 | ルテイン、β-カロテン | 約 1500 | 含まれない |
赤ワイン | ポリフェノール、レスベラトロール | 約 3900 | 含まれない |
ザクロ果汁 | アントシアニン、エラグ酸 | 約 2300 | 含まれない |
👉 補足ポイント
- スイスチャードの抗酸化能はベタレイン色素によるもので、ビーツや他のベタレイン供給源よりはやや低めですが、日常食の葉物野菜としては高い部類です。
- ベタレインは水溶性色素で、他の抗酸化成分(ビタミンC、ポリフェノールなど)と異なる経路で活性酸素を除去する特性があります。
- 他の抗酸化食品(ブルーベリー、ザクロなど)はベタレインを含まないものの、異なる抗酸化物質による高い総抗酸化能を持っています。
🧪 ベタレインの抗酸化活性に関する試験結果の例
- DPPHラジカル捕捉活性(試験管内実験)
ベタシアニン(スイスチャード由来)は、ビタミンCやトロロックス(ビタミンE類似体)と同等のラジカル捕捉能を示したという報告があります。
具体的には、ベタレイン色素のラジカル消去活性 IC50(半数抑制濃度)はおおよそ 25~50 μM とされています。 - 脂質酸化抑制試験
ベタシアニンはリノール酸の自動酸化を 70% 以上抑制する効果があるとされています。
💡 まとめ
スイスチャードのベタレイン色素含有量は、
✅ 赤紫系茎部分で 20~50 mg / 100 g、
✅ 黄色系茎部分で 10~30 mg / 100 g 程度です。
抗酸化能としては、ビーツよりは低いものの、ほうれん草などの葉物野菜と比べて高く、ビタミンC・Eや他のポリフェノール類と相補的に働きます。日常の野菜として気軽に取り入れやすく、彩りと健康効果を同時に享受できる貴重な存在です。
💬 もし必要であれば:
- スイスチャードの品種ごとの詳細データ
- 抗酸化作用のヒト臨床試験例
- ベタレインの加熱・調理による減少率データ
なども提供できます。
